- 2007年03月09日 15:13
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3.「Risk」(リスク)
山内の時代から僕ら従業員は、「いつも新しいことをしなさい」と言われてきました。新しいことをする時には、リスクがあります。
我々はそのリスクを覚悟して、テレビゲームがどうあるべきか話し合ってきました。Wiiの設計と言うのは、今までと比べられないような、チャレンジとリスクでした。
「ゲームキューブ」は、正直なところ、人口拡大とは思ったものの、中途半端な製品だと思いました。でも幅広い層にアピールしたいとは思っているので、例えばコントローラなんかも、大きな「Aボタン」をつけたんですね。色も変えました。
これで、誰でも気軽に、怖がらずに遊び始めるかなと思ったんですね。けど、結果的には、このインターフェイスでも、ゲームをしない人にはとても複雑だったんです。
それで、Wiiでは、「リスクを覚悟して新しいゲーマーを迎える挑戦を続けるか」、それとも「潔く諦めてもっと高性能のゲームに進むか」……。これは、問題なく私達は、新しいことをやってみようと言うことで、決めました。正直言って、僕も不安がありました。
今までこう(Wiiリモコンを両手で持ちながら)、両手で遊ぶコントローラは僕らが作って、10年以上も使ってきた。僕もこうして遊ばないと落ち着かないくらい、慣れてきたんですね。で、これを(Wiiリモコンを右手に両手を広げながら)こう外すわけですから。
開発の期間中、ずっと僕の大きな仕事は、社内の伝道師のような仕事でした。プロデューサーと会っては、最終的には、まあ「このコントローラで何かできなくなるものがある」ということを考えるんじゃなくて、「このコントローラでできることを考えようよ」、そっちに未来を感じようよ、という話をしてました。で、話をしながら、段々と僕自身が説得されていく。
岩田さんとも話をしました。で、話をすると、段々と落ち着いてくるんですけども、でも一人になるとまた、不安になってくるんですね。
けどまあ、昨年のE3だと思います。去年のE3で、こういうイメージが変わりました。(会場でWiiを体験する風景を撮った写真を見ながら)本当に、楽しそうに遊んでくれるんですね。こうして、本当に良かったなと思います。
Wiiが完成するまでと言う話は、これまでにも何回か聞くことができたわけですが、宮本さんの想いと言うものを語ったのは、これが初めてではないですかね。不安がありながらも仲間達と信じあえた、というのが任天堂らしいです。
続いて、宮本さんのビジョンに話は移ります。ここ辺りは、ニュースサイトさんの記事より。
宮本さんはよく、雑誌のインタビューなどで「ゲームのアイデアはどのようにして浮かんだのですか?」といった質問を受けるようです。
ゲームを作るときのビジョンで大切なのは、プレイする人の顔をイメージして開発することです。小さい要素にいちいちこだわってはいけない。僕らはユーザーを楽しませたいと思ってるし、驚きや楽しみを感じてほしい。
ユーザーがポジティブに解釈するのであれば、ゲームではどのような遊びも可能だと思っています。
「ゼルダの伝説」を最初に制作していた時期に社内で見せた時、「ゲームの目的がわからないし、謎解きもわからないということで、日本では受け入れられがたい」という評価だったらしいです。開発者からも「一本道のゲームにしてほしい」と言われたそうですが、宮本さんは却下して、現在のものになりました。
あえてそのようなゲームすることで、寝る前などに考えてもらったりして、ユーザー同士で攻略方法を話し合ったりする、というコミュニケーションをとって欲しかった、とのことです。そして結果、その通りになったわけですね。
また、宮本さんは「ゼルダから別のインスピレーションを与えられた」とのこと。それは「どうぶつの森」です。このシリーズは、コミュニケーションと協力で成り立っており、競争の要素はありません。宮本さんによると、このゲームも「ワイフのメーターを上げてくれた(※基調講演まとめ その1を参照)」ようです。
このゲームは、ゲームが上手な人達にも評価され、世界中で700万人以上がプレイしています。
さて、ここでひと区切りしたいと思います。続きの「その3」では、優先順位をつけるということで、「Wii Sports」の製作過程などが紹介されています。どうぞお楽しみに。
◎関連リンク
□「Game Developers Conference 2007」宮本茂専務取締役 講演動画 (任天堂)
□任天堂の宮本茂氏がキーノートスピーチ。自身のビジョンを語る! (ファミ通)
□GDC2007: 宮本茂氏 基調講演 まとめ ~「Wii」の話題は言った通りに~ その1 (N-Wii.net)
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