- 2007年03月09日 12:56
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Wiiについても多く触れていますので、講演内容を、なるべく宮本さんが言ったとおりに、書き起こしました。
ですが、講演は70分以上にも及んでいるため、「全文書き起こしは無理」だと悟りました……。歴史やDSの部分などは圧縮して、でも流れは分かるように、そしてWii関連の部分を重点的に、なるべく言ったとおりに書き起こしています。それではどうぞ。
宮本氏が紹介された後、「似顔絵チャンネル」で宮本さんのMiiを作る様子が映し出され、完成後、ステージに登場。講演はプレゼン風で、画像などは、すべて「写真チャンネル」を使用しており、実際に宮本さんが操作していました。
今回の講演を「創造的ビジョン」と題して、まず、任天堂のビジョンに関する話を始めます。
1.「Expanded Audience」(ユーザー層拡大)
宮本さんが様々な試みに挑戦していく上で、自分達の作ったゲームが多くの層に受け入れられているかどうかを、「どれくらい奥さんが興味を持つか」で見ているようです。講演では、「Wifi-o-Meter」なんていう、奥さんの興味度を示したメーターが登場し、任天堂が進化する過程を、宮本さんの奥さんの話を交えて紹介していました。
ここでも「写真チャンネル」を使って、「ピクミン」の題材にもなった庭や、「Nintendogs」のアイデアの元である飼い犬の写真なども紹介していました。さすがですね。
さて、「Wifi-o-Meter」ですが、最初はとても低く、
「スーパーマリオブラザーズ」
↓
「ゼルダの伝説 時のオカリナ」
↓
「どうぶつの森」
↓
「Nintendogs」「脳トレ」
↓
「もっと脳トレ」「投票チャンネル」「似顔絵チャンネル」「Wii Sports」など
の順にメーターが上昇し、最後は満タンになりました。段々と奥さんがゲームに興味を持つようになってくれたということですね。ひと段落した後、任天堂ビジョンの2つ目のテーマに移ります。
2.「Balance」(バランス)
ここ辺りから、Wiiの話が多く登場します。先ほどの通り、Wiiの話題はなるべく発言どおりに書き起こしました。その部分は、青い四角で囲んであります。まず宮本さんは、任天堂は「デザイナーやプログラマーなど、社内の様々な職の人達が部署を超えて気軽に話し合える」ことを話し、任天堂特有の社風について触れました。そして、Wii開発中の話題へ。
Wiiは、非常に複雑で強烈なプロジェクトでした。色々なチームの人達が主張してきます。一つのグループは、「全く新しいゲームを作りたい」と言いました。またあるグループは「ゼルダが遊べなくなると困る(今までのゲームも遊べなければならない)」と、ライセンシーの仕事をしている人達は、「ライセンシーのソフトが全部作れるようにして欲しい」と言います。
ところが、Wiiが目指したのはとてもシンプルなコントローラです。もちろんエンジニアは色々な技術を提案しますし、プログラマーはそれを色々な技術を使ってゲームにしようとします。すごくワクワクする反面、すごく不安になります。「あまりにも変わった物を作ってしまうと、過去のフランチャイズを全て捨ててしまうんではないか」という不安です。
このプロセスの中で、僕らはとてもたくさんのプロトタイプを作りました。(GCのコントローラを基調とした物や、スターをメインに配置した円形のもの、スティック部分がグリップごと回転するもの、TVリモコンのようなカーソルボタンがあるものなど、段々と現在のWiiリモコンに近づいていく。)
僕らは、これを触って、プログラムを作って、分析して、フィードバックを重ね、一番面白い組み合わせは何か、検討を続けました。この作業は楽しい時間でもありますが、一方で、長いトンネルの中に入っている、辛い期間でもあります。
そして我々は、ついに、テレビリモコンのような形に落ち着きました。製品の最終形は、各ジャンルのメンバーのコラボレーションの結果だと思います。それは、ソフトとハードのニーズのバランスをとりながら、新しいゲーム機を作ると言うことです。
こうしてWiiになっていくわけですが、極限の議論もしました。「携帯ゲーム機の機能がとても高性能になったら、なぜ今さら動かせないテレビに繋ぐゲーム機が必要なのか」とかです。継続的なコラボレーションを持続できるプラットフォームを提供することが、重要だと思います。これが、任天堂の責任だと思います。
我々がリモコンのような形に決めたとき、トンネルの出口が見えてきた気がしました。これらは、僕が今まで抱いてきた夢を実現してくれそうな気がしたんですね。
このハードは、今までのゲームが作れると言うことももちろん重要ですが、他のハードでは作れないものを作れると言うことが、すごく重要なんですね
世の中のゲームデザイナーの皆さんに、新しいスタイルのゲームを考えてもらう機会を作りたい、そういう機会を提供したいと思っています。
ここ(画面にニンテンドーDSLiteが登場)で得た経験を、どんどん次のエンターテイメントのために活かしたい、という風に考えています。任天堂は、わりとインターフェイスに注目して技術革新をしてきたんですけども、もっと幅広いジャンルの仕事にも興味を持っています。
この後、京都にある「時雨殿」についての説明に移ります。DSを使った館内の仕組みなどを紹介し、「このような、エンジニアとやる仕事はとても楽しかったです」と宮本氏。この経験で、次のようなことも体感できたとのこと。
- 体と使って遊ぶということ。
- エンディングのないゲームも、作れるのだということ。
- インタラクティブな装置を使うと、和歌のメインターゲットである老年層と若年層であるお孫さんが、一緒に遊べたということ。
「時雨殿」の説明が終わった後、3つ目のテーマ「Risk」(リスク)に移ります。新しいことをするにはリスクが必要だ、と言うような趣旨ですね。ここでもWiiの話が多く登場します。
さて、ここから先は、「その2」で紹介したいと思います。ここまでで、講演は20分ちょっとまで進みました。なかなか濃い講演内容ですね。
続きも、どうぞお楽しみに。
◎関連リンク
□「Game Developers Conference 2007」宮本茂専務取締役 講演動画 (任天堂)
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