「任天堂カンファレンス2007.秋」岩田社長講演の要点をまとめる
10日に開催された「任天堂カンファレンス2007.秋」の第1部として行われた岩田社長の講演内容の重要なポイントをまとめてみました。キーワードは、ゲーム人口の継続的な拡大と初心者と熟練者の壁を取り払うことです。
以下、講演の流れに沿って順に、要点をまとめています。
任天堂のここ3年間の取り組み「ゲーム人口の拡大」を振り返る
第1のステップは「
ニンテンドーDS」
- 2005年春からの「Touch! Generations」の展開
- 2005年冬の「ニンテンドーWi-Fiコネクション」スタート
- 2006年3月、「ニンテンドーDS Lite」発売
- DSの様々な事業展開により、今まで下降していたゲーム市場の規模は2005年に上昇転換、2006年に大きく飛躍
- 「ポケットモンスター ダイアモンド・パール」は全世界で1400万本以上を出荷、Wi-Fiを通じて2000万匹以上のポケモンが交換された
第2のステップは「
Wii」
- 2006年と2007年で市場の売上高を比較すると、25%上昇した
- 据置型ハードの売り上げは約5倍に、しかしPS2ソフトの売り上げ減少分はまだカバーできていない
- ニンテンドーDSについては、引き続き市場規模が拡大
- 2006年に54%だった任天堂のシェアは、2007年に64%に拡大した
ソフト売り上げについて
- 2007年1月~9月の「ソフトヒットチャート トップ30」によると、DSソフトが21本、Wiiが5本、PSPとPS2が2本ずつランクイン
- 「任天堂ハードでは任天堂製とポケモンソフトしか売れない」と言う批判があった事は事実である
- 確かに、2006年度に売れたDSソフトの77.1%は任天堂製だった。しかし2007年では50.3%になり、サード製ソフトが売れ始めている
- Wiiの市場は、現在は任天堂製ソフトが大部分を占めているが、やがてDSのように緩和されていく
ユーザー人口の変化
- DSのヒットは日本が先行したが、Wiiの場合は日米で同時進行
- ハード別に見ると、GBA・GC共に男女10代が中心
- DSも発売直後こそ10代中心だったが、現在は10代をはじめ、20代~40代前半、高齢者のユーザーも多い
- Wiiでは既に、10代、20代後半~40代前半、50代以降に受け入れられている
- また、女性ユーザー比率が高いことも任天堂ハードの特徴
→Wii 51%、DS 53%、PSP 29%、PS3 11%、Xbox360 13%、PS2 32%、GC 42%
今後は「第3のステップ 継続的なゲーム人口の拡大」へ
現在のブームに関しての認識
- DSから2年目の年末から市場最速の普及を見せ、常に商戦期のような売り上げ
- しかし「いずれ飽きられてしまう」「一過性のものではないか」という意見も
→ これは任天堂も認識しており、そのため第3のステップを考えた
Wiiのコンセプトは3つ
1.家族とゲーム機の関係を変える
→ リビングルームにWiiを置く家庭は多く、家庭内ユーザーが増えた
2.テレビとゲーム機の関係を変える
→ Wiiのリビングルーム設置率は83%に達した
3.インターネットとテレビの関係を買える
→ Wiiのネット接続率は40%、これは十分とは言えない
Wiiの今後に向けた、ネット接続率向上への取り組み
- Wiiの満足度調査は、ネット未接続ユーザーよりもネット接続ユーザーの方が高い
- 初心者にとっては、ネットに繋ぎたくても技術的・心理的な障壁がある。今までの任天堂にはそれを克服できる用意が足りなかった
- 今後は、コンテンツを増やすことはもちろんだが、ネット環境の整備が重要となる
- その一環として、NTTとの協業サポートを発表
→ 詳しくは任天堂、Wiiのネット接続率向上に向けてNTTとの協業サポートを発表へ。
「バーチャルコンソール」の成果
- 配信数は、ファミコンが58本、SFCが30本、N64が8本、メガドライブが50本、PCエンジンが54本、NEOGEOが3本、計203本
- 先週までに、全世界で780万ダウンロードを達成
- VCは新しい試みだったが、多くのユーザーに支持された
ソフトウェアダウンロード販売サービス「Wiiウェア」
サービス詳細については、
ソフトダウンロードサービス「Wiiウェア」が発表、08年3月スタートをご覧ください。
「Wiiウェア」展開の理由
- ファミコン時代とは異なり、優れたアイデアがあっても形するまでに大変な労力を必要とする状態になった
- また、パッケージ販売は重要ではあるが、価格面の限界と、ボリュームを求める客との溝が生じている
- 「Wiiウェア」は、パッケージ販売を補う新たな販売方法を確立するために誕生した
「Wiiウェア」の目指すもの・利点
- アイデアを優先した、バラエティ豊かなソフト開発
- 在庫による機会損失がない → これは「バーチャルコンソール」での実績が証明している
- パッケージとは違い、求めやすい価格で提供できる
- アイデア勝負の土壌をつくる → ゲーム開発人口の拡大にも繋がる
ラインナップ紹介と「Wiiウェア」の現状
「Wiiチャンネル」への取り組み
- 3月以来、しばらくは追加が途絶えていたが、年内に以下の2つチャンネルをリリースする
- Miiコンテストチャンネル (11月配信)
- Miiの遊びを充実させるチャンネル
- モードは、投稿広場とコンテストの2種類
- みんなのニンテンドーチャンネル (11月配信)
- Wiiユーザーの自宅へ、ゲームに関する映像や情報、DSソフトの体験版を配信
- ゲームは情報は、ゲームのプレイ履歴集計や実際に遊んでの感想など、ユーザー初のものも掲載
- データは、性別、年齢、おすすめ度のアナログ入力で集計する
→ 個人情報と関連付けて収集する事はないので、プライバシーについては安心 - DSソフトの体験版は、店頭の「DSステーション」の簡易版のような感じになる
- 詳細については、「Miiコンテストチャンネル」と「みんなのニンテンドーチャンネル」が11月スタートをご覧ください。
フィットネスソフト「Wii Fit」について
継続的なゲーム人口拡大に向けた商品づくり
- 熟練者・初心者の満足を両立させる商品を目指し、両者の間にある壁を取り払いたい
- 今までは、商品ごとに対象ユーザーが異なってしまっていた → 結果、ユーザーの層が分断されてしまった
→ これは、格闘ゲームやシューティングが良い例となるだろう - 6月に発売したDSソフト「ゼルダの伝説 夢幻の砂時計」は、タッチペンによる操作を取り入れることで両者から支持、女性からの人気も集めた
- さらに、「どうぶつの森DS」「Newマリオ」→「ゼルダDS」の流れもできた
今後のラインナップ紹介
スーパーマリオギャラクシー (11月1日発売、5800円)
マリオ&ソニック AT 北京オリンピック (11月22日発売、5800円)
マリオカートWii (2008年春発売)
Wii Music (2008年発売)
大乱闘スマッシュブラザーズX (2008年1月24日に延期、6800円)
モンスターハンター3 (カプコン)
市場変化のプロセス
- 既存のゲームマーケットに、ニンテンドッグス、脳トレ2作、英語付け、料理など、ゲームの新しい定義をお客様に提案した
- その結果、「どうぶつの森」や「Newマリオ」の販売本数は異例の400万本超えを果たした
- しかも、過去に例を見ないほど長期に販売が継続している。これは、1本目・2本目のソフトとして選ばれたと言うこと
- これは通常ならあり得ない事で、これは市場の変化期で大きな需要が生まれたため
- 今後は「Wii Fit」で、ゲーム定義の拡大やさらなる市場の開拓を目指す
以上で、第1部である岩田社長の講演が終了しました。今回は、事前に予想されていたよりもサプライズが少ない無難なカンファレンスだったという評価もありますが、「モンハン3」の電撃移籍や「スマブラX」の発表など、色々な驚きはありましたね。
第2部では宮本さんによる「Wii Fit」のプレゼンテーションが行われましたので、それについてもまとめたいと思います。
◎関連リンク
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