コラム: 任天堂・岩田社長と坂口博信氏の”プレイ動画”に対する考え方
16日に更新された社長が訊く「ラストストーリー」その3にて、任天堂の岩田社長、ミストウォーカー代表の坂口博信氏が”プレイ動画”に対してコメントしています。
インタビューのテーマになっている「ラストストーリー」では、
ゲーム中に挿入されるイベントシーンのカメラをユーザーが操作できるようになっています。これは、RPGのようにストーリーに重みを置く作品では珍しい事ですが、なぜこのような仕様になったのか、両氏は以下のように話しています。
坂口氏:
それが目的で本作のカメラシステムでは、
イベントシーンのカメラは固定ではなく、
ある程度自由に動かせるようにしました。
それぞれのお客さんがカメラアングルを少し工夫できるんです。
すると動画共有サイトなどでプレイ動画を見た方は
「どうして同じシーンなのにカメラの動きが違うんだろう?」
って感じてもらえると思います。
岩田氏:
ああ、今のは非常に面白い話ですね。
確かに、動画共有サイトができる前のゲームと
できた後のゲームは、違うものになってきていると思うんですよ。
ストーリーのネタバレを目的にしたプレイ動画は
お客さんがゲームを遊ぶ動機を奪ってしまうので
当然大きな問題なんですが、
魅力を紹介しようと応援してくれている人の
プレイ動画を見ただけでも
お客さんは容易に遊んだつもりにさえなれてしまいます。
とくに美しい映像を見てもらうことが
メインのゲームに関してはそうですよね。
そのなかで、坂口さんが考えられたことは、
ものすごく面白く、重要なことだと思います。
坂口氏:
そうですね。だから『ラストストーリー』では、
人によって違うプレイ動画をつくれるようにすることで
動画を見た人が「自分ならどうするかな」と考え、
プレイする新たな動機につながればと思っています。
”プレイ動画”とは、プレイヤーがゲームを遊んでいる時の画面や反応などを撮影した動画で、誰もがタイトルを知っているような作品からマイナーなものまで、様々なユーザーがプレイ動画がアップロードしています。
作品の魅力を効果的に伝えることが出来る手段である一方で、ストーリー重視の作品ではネタバレになってしまうほか、ゲームを購入する代わりにオープニングからエンディングまで全ての動画を視聴して済ませる人もおり、売り上げへの影響も懸念されています。
そんなプレイ動画ですが、岩田社長と坂口氏の考え方は似て非なるもののように感じます。坂口氏は、プレイ動画が公開される事を意識して今回のようなイベントシーンでのカメラ操作を導入している節があり、肯定的に捉えているようです。
対して岩田社長は、「ストーリーのネタバレを目的にしたプレイ動画はお客さんがゲームを遊ぶ動機を奪ってしまう」「見ただけでもお客さんは容易に遊んだつもりにさえなれてしまいます」と問題点を挙げています。魅力を紹介する内容の動画には一定の理解を示しているようですが、どちらかと言えばプレイ動画には否定的な立場のようです。
プレイ動画は著作権を侵害している可能性があり(法律ではグレーゾーン)、流行り始めの頃はメーカーにとっても悩みの種になっていました。しかし最近は、内容によっては宣伝効果があると考えられるようになったほか、メーカー側が公式でプレイ動画を公開したり、今回のようにプレイ動画を意識した機能を取り入れたりするなど、
どちらかと言えば活用していく方向で動いているようです。
ただ、前述の通りネタバレや売り上げへの影響なども依然として残っているため、まだまだ課題も多いのが現状です。業界としての共通ルールは存在しておらずメーカーや作品によって考え方は様々ですが、公式サイトでは分からない情報を知ることが出来るなどユーザーにとってもプラスな面がありますので、上手く共存できるような方向に進んでいって欲しいですね。
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