特集:決算の読み方3 『任天堂は利息だけで社員の給料が払えるのか』
来る24日の任天堂決算発表に備えて、決算書の読み方を簡単に覚えようと言うこのコーナー。第3回は、決算書から分かる任天堂の凄さを特集します。
今回の特集で登場する各種数値は、平成19年3月期(平成18年度)の決算短針を元にしたものです。
任天堂は受取利息だけで社員の給料が払えるのか
任天堂は、保有する主な現金をドル建てで預金しています。その額は、2007年度末時点で29億4000万ドル。決算時点での為替レート1ドル=118.05円で換算すると、約3470億円です。ほか、ユーロ建てで6億9300万ユーロ(日本円で約1090億円)の預金があります。ほかにも日本円でも預金があると思われますが、額は不明です。
で、これらの預金の利息を受け取るわけですが、決算短針によると額は
240億5500万円です。なんと、利息だけで240億円も儲けているわけですね。
さて、今度は給料の総額ですが、これは任天堂ホームページの会社紹介を参考に計算したいと思います。任天堂の社員数は2007年3月現在で1403名です。これは、日本の任天堂のみの正社員数で、アルバイトや契約社員などは除いています。
次に年間給与額ですが、2007年3月現在で1人あたり平均957万円です。注意書きに「基準外賃金および賞与を含む税込支給額」とあるので、残業代やボーナスを含んだ額ですね。
ということは、社員全員分の給与額は、
957万円 × 1403人 = 134億2671万円
となります。先ほども言ったとおり利息は240億円ですので、少なくとも、任天堂本社の正社員の給料は利息だけでまかなう事ができ、そのうえ100億円も余る計算になります。
でも、大量の現金保有には危険が潜んでいます
ここまでは、預金による利息という”利点”についてお話しました。大量の現金を持つと言う事は、財務的な力があると言う事です。
現在の任天堂からは想像も出来ませんが、実は任天堂は、「ゲーム&ウォッチ」を発売してヒットするまでは事業に失敗し続けたため、みんな はさーん寸前の状態にまで陥った事があります。その経験から、「なるべく借金はしない」「必要なお金は自前で」という方針になり、現金を持つようになったのです。
しかし健全な企業は、各方面から買収に適当な相手として目を付けられてしまいます。今は、株価が高く時価総額が多い状態にありますのでとりあえず安全ですが、何らかの理由によって株価が下がって時価総額が減少した場合は、どうなるか予想も出来ません。
日本でも、様々な企業が買収問題に悩んでいます。任天堂も例外ではありませんが、
岩田社長によると手は打ってあるとの事で、秘策もあるようです。
ええと、決算書からはずれてしまいましたが、決算書から分かる事実という事で、第3回の特集でした。
→ (第4回は、23日夜に掲載予定です。)
◎関連リンク
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任天堂岩田社長、買収防衛策について「色々と手は打った」 (N-Wii.net)
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決算の読み方2 『為替差益・為替差損』