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コラム: ニンテンドー3DSの今までとこれから

  • 掲載: 2011年11月20日 23:41
 ニンテンドー3DSは、発売後初の年末商戦を迎えました。一時期の不調を乗り越え、値下げや本体新色、「スーパーマリオ3Dランド」によって勢いを増しているニンテンドー3DSの今までを振り返ります。

3DSの今まで

 日本で2011年2月26日に発売されたニンテンドー3DSは、発売後2日間で37万1326台(メディアクリエイト集計、以下同様)を販売しました。初回出荷台数は40万台と言われており、年末商戦を過ぎていることを加味すればスタートは好調だったと言えます。
 しかし、2週目以降は販売数が下がり続け、4月下旬以降は週間販売台数が2万~3万台で落ち着くようになりました。PSPは同時期に週4万~5万台を販売していたこともあり、あちこちで”3DS不調論”が騒がれ始めるようになりました。

 そして2011年度第1四半期決算が発表された7月28日、任天堂は8月11日よりニンテンドー3DS本体を2万5000円から1万5000円へと値下げすると発表します。発売後半年未満での約4割の値下げは、ユーザーをはじめ各方面に衝撃を与えました。
 この日は、異例の値下げに対するお詫びとして既存ユーザー向けに「ニンテンドー3DSアンバサダー・プログラム」を用意し、バーチャルコンソール向けソフト20本を無償提供することも発表されました。

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発売週からのニンテンドーDS/ニンテンドー3DS本体 累計販売台数推移

 このグラフは、ニンテンドー3DSとニンテンドーDSの発売からの累計販売台数の推移をまとまたものです。一時は週販2万台以下になったニンテンドー3DS本体の売り上げですが、8月11日の値下げ実施後は好調に推移しています。DSは発売時の年末商戦で一気に売り上げを伸ばしましたが、値下げ後は3DSが追い上げてきていることが分かります。
 3DS値下げ週の売り上げは19万6077台と発売直後に匹敵する規模で、”第2のロンチ”とも言える結果になりました。8月中以降は週5万台ペースになり、その後も新色”ミスティピンク”の発売週は7万台、「スーパーマリオ3Dランド」と新色”アイスホワイト”が発売された週は14万台と大きく伸びました。

 DSは2005年11月~12月の2ヶ月間だけで約217万台を販売し、一気に累計565万台まで駆け上がっていくのですが、短期的に見れば、同期間でのDSの累計を3DSが抜く可能性も十分にあります。


3DSとDSの違い

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発売からのニンテンドーDS/ニンテンドー3DS本体 週間販売台数

 さて、ここからは”DSの1年目”と”3DSの1年目”の違いについて考えていきたいと思います。2つ目のグラフは、ニンテンドー3DSとニンテンドーDSの週間販売台数を、時期を合わせてプロットしたものです。DSは2004年12月2日発売、3DSは2011年2月26日発売ですので、3DSは途中からのスタートです。

 グラフを見ると、DSは17週目や21~23週目あたりで何回か販売台数が上昇しています。これは、3月上旬に本体新色、4月下旬に本体新色と「nintendogs」、5月中旬に「脳トレ」が発売されたためです。
 DSと3DSの大きな違いは、DSではこのような”イベント”が発生した際、それに反応して本体の売り上げが大きく伸びていたことです。

 実は3DSでも、任天堂は春から夏にかけて様々なイベントを仕掛けました。4月中旬に「パイロットウイングスリゾート」、5月中旬に「スティールダイバー」(※震災の影響で3月から延期)、6月中旬に「ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D」、7月に本体新色と「スターフォックス64 3D」をそれぞれ発売しました。
 ただ、グラフを見れば分かる通り、値下げを実施する前のニンテンドー3DSは”イベント”により良い影響を与えることが出来ず、娯楽商品という面から見て非常に危機的な状況にありました。


3DSが正常な軌道へ回復するために

 値下げ後から、任天堂は様々な施策を仕掛けてきました。例えば9月のニンテンドーカンファレンス2011や、10月のニンテンドーダイレクトなどでは、年末商戦から2012年以降に向けた今後のラインナップを丁寧に紹介しました。

 新しいゲーム機を購入する上で、
  ・今すぐ遊びたいソフトがある
  ・今後も遊びたいソフトが発売される
 という2点はとても重要な観点です。発売直後の3DSは、少なくともこの2点について多くの人に魅力が伝わっていない状態でしたが、上で紹介したイベントである程度は改善できたのではないかと思います。

 また、11月には2回目の大規模な本体機能更新が実施されます。DSiショップの反省を元に開発されたニンテンドーeショップですが、さらなる修正が加えられる見込みです。他にも、3D動画の撮影が可能になったり、「すれちがいMii広場」の強化も行われます。
 そして11月3日に発売された「スーパーマリオ3Dランド」、12月1日に発売される「マリオカート7」、12月10日に発売される「モンスターハンター3G」など、魅力的なタイトルが続々と登場します。


3DSのこれから

 3DSは今後、ゲーム史上最も売れたニンテンドーDSとの戦いになります。DSは任天堂も予測できなかったブームを巻き起こしましたが、今後はそれを超えていくことが要求されます。
 3DSの出荷計画は2011年度中に1600万台ですが、実はこの目標はかなり高めです。9月末時点での出荷数は307万台に留まっており、目標を達成するには残りの半年間で約1300万台を出荷しなければなりません。この目標を達成するには、主要3地域で10月~3月の間に平均400~450万台を出荷する必要があります。値下げ後は好調の3DSですが、今ようやくスタート地点に立てたという状況です。

 任天堂の岩田聡社長は、昨今の”3DS不調”や”家庭用ゲーム機vsソーシャルゲーム”といったメディアの論調に対して「ソーシャルゲームの成長、発展が任天堂の業績と直接因果がないことを多くの方々に納得していただけるような、そういう証明ができるような結果を、今年の年末商戦にぜひ出したい」と語りました。

 3DSは今後、健全な成長を続けることができるか。また、単に3DSの今後だけではなく、「ソーシャルゲームの台頭による家庭用ゲーム機市場の衰退」というメディアの論調を吹っ飛ばすことができるか。さらには、DSの勢いがWiiを後押ししたように、3DSの勢いでWii Uを後押しすることができるか。まさに任天堂の存在意義をかけた戦いが始まります。