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コラム: 岩田社長のゲーム市場分析をまとめてみた

  • 掲載: 2009年11月1日 01:58
 10月30日に開催された任天堂の経営方針説明会・中間決算説明会において、岩田社長が全世界のゲーム市場について詳しく分析していました。しかし読むとなると結構長いので、コンパクトにまとめてみました。
 最初に注意事項という事で1つ書いておきたいのですが、これは任天堂の岩田社長の分析である事と、普段はWiiの話ばかりしている人がまとめた事を考えると、多少の偏りがあるかも知れません。なるべく客観的なまとめになるように配慮していますが、その点はご了承ください。
 なお、このまとめは、任天堂ホームページにて掲載中の2009年10月30日 経営方針説明会/中間決算説明会 講演内容全文を要約したものです。こちらにはグラフなども図もありますので、余裕のある方はぜひご覧ください。


日本の据置型ゲーム機市場について

  • Wii本体は昨年同期比で約半分に減少、対してPS3は50%程度上昇しており、両ハードの販売シェアはほぼ拮抗
  • Wii本体の減少が大きく影響し、据置型ハードの販売台数の合計も昨年比で減少
  • 昨年末発売のタイトルがロングセラー化しなかったことや、今年前半に有力タイトルを発売できなかったことから、Wiiソフトの販売本数は大幅に減少した
  • それに伴い、Wiiのソフト販売シェアは50%を切った

北米の据置型ゲーム機市場について

  • 昨年比では、Xbox360以外の据置き型ゲーム機の販売台数が減少した
  • 2007年、2008年と増加を続けてきた本体販売台数は、2009年は減少に転じた
  • 販売シェアを見ると、販売総数も減っていることからWiiのシェアは微減に留まっている
  • PS2ソフトが大幅減となったためWiiソフトの販売シェアは微増になったが、満足できる状況ではない

欧州の据置型ゲーム機市場について

  • 北米と同様に、2009年は減少に転じた
  • Wii本体は昨年比で約半分になっており、北米以上に厳しい状況。PS3とPS2も減少、Xbox360のみ増加
  • 2008年にはWii本体の販売シェアが50%を超えたが、2009年には40%程度に低下
  • Wiiソフトの販売シェアは前年とほぼ同じ30%台後半
  • シェアで見ると、PS2ソフトの減少分はPS3とXbox360が分け合っている状態

携帯ゲーム機市場について

  • 日本と北米では、2008年に比べて本体・ソフトの販売数共に増加
  • 据置き型ゲーム機市場におけるDSのシェアは日本で6~7割、海外で7~8割と好調
  • しかし欧州では本体・ソフトの販売数が減少しており、シェアは増加しているものの次の一手が必要

ソフトウェア市場について

  • 日本ではDSソフトが増加したもののWiiソフトは減少、総数も減少。任天堂のシェアは昨年と同じ65.8%
  • 北米では市場規模が縮小しており任天堂のシェアは2007年から3年連続で増加、39.5%→46.0%→49.6%
  • 欧州ではWii/DSが共に減少しており、任天堂のシェアは減少。昨年の53.7%に対して今年は51.9%

ゲーム市場全体について

  • 日本では2年連続で減少。任天堂の実績も2年連続で減少したが、金額シェアで見ると微増
     → ゲーム市場全体として、今年前半にヒット作が出せなかったことが要因
  • 北米では、2004年から2008年にかけて市場規模が2倍にまで成長したが、2009年は減少に転じた
     → 他社の落ち込みが激しく、任天堂のシェアは増加。しかし市場全体が縮小しているため喜べる状況ではない
  • 欧州では2005年から2008年にかけて2.5倍に拡大したが、2009年は大きく減少
     → 市場縮小に加えて、ユーロの為替レートが大きくポンド安になった事も要因

 と、DSの本体・ソフトの販売数が、欧州では減少しているものの日本と北米で増加している事を考えると、Wiiはかなり厳しい状況にある事が理解できるのではないでしょうか。
 上を見ると、業績としては減収減益でもシェアは増加している事から、実はそんなに悪い状況ではないようにも思えますが、ゲーム市場全体の規模が縮小しているため楽観視は出来ません。(岩田社長も「満足できる状況ではない」「次の一手が必要」と言っていますね)
 特にWii本体・ソフトの現象が浮き彫りとなっていますが、要因としては昨年末のビックタイトルがロングセラー化せず、いまいち盛り上がりに欠けた年末商戦の雰囲気を未だに引きずっている事がまず1つあります。それに、今年前半の間に有力タイトルを発売できなかったのが重なったのも大きな要因であると考えられます。

 とりあえずここで他ハードについても簡単に触れておくと、Xbox360については、国内ではなかなか存在感を出せない状態が続いていますが海外ではまだまだ好調です。マルチプラットフォームのタイトルは、より普及している方の機種の販売数が多くなりますので、1年だけ先行発売して数を稼いだXbox360に分があると言って良いでしょう。
 PS3は、PS2という巨大な市場を受け継ぐハードとして発売されたものの発売当初はタイトルが揃わず、スタートで出遅れました。しかし今は新型PS3によって勢いが増していますし、日本ではようやく12月にFF13が発売されます。PSPは、国内ではモンハン以降は魅力的なタイトルが増えていますが、海外ではそもそもソフト数が少なく存在感があまりありません。PSP goの受け入れられ方によっては少しは状況が良くなるかも知れませんが、大勢には影響しないと思われます。

 さて、11月に入ったという事でこれから年末商戦が始まりますが、据置型ゲーム機について言えば”挽回”がテーマとなるでしょう。携帯型ゲーム機に人気を取られた状態が続いていますが、Wiiとしては失ってしまった勢いをNewマリオなどの年末商戦向けラインナップで取り返していきたいところです。
 PS3にとっても、新型やFF13などの役者が揃った事でようやく華のある年末商戦が訪れます。Xbox360については、本体を持っている僕としては頑張って欲しいところですが、国内ではPS3との差別化が図れていない点が厳しいです。何か独自の色を出していく必要がありますが、それをどうするか。

 何はともあれ、2009年の年末商戦はここ最近では最も盛り上がる事が予想されます。今年前半の停滞感を吹っ飛ばすべく、特に据置型ゲーム機に頑張って欲しい。数ある有力タイトルの中でどういった作品が人気を得るかについても、じっくり見守っていきたいところです。
 年末年始は家でゲームをやろうぜ! というのは毎年のように言っていることですが、今年は特に据置型ゲーム機が盛り上がりそうなので、家でじっくり腰を据えてゲームしたいですね。

◎関連リンク
 □経営方針説明会/2010年3月期 第2四半期(中間)決算説明会 講演全文 (任天堂)

◎関連ニュース
 □任天堂が2009年度中間決算を発表、減収減益・業績予想を下方修正