コラム:「子供向け」と言われる任天堂ハードからの脱却、今後の道
任天堂は、「マリオ」「リンク」「ドンキーコング」などのキャラクターに愛され、テレビゲーム界の「ディズニーワールド」として知られています。ですがこのイメージは、残念なことに任天堂の市場占有率を下げ、会社の重要な問題となってしまいました。
90年代半ばに、「Mortal Kombat」という名のゲームソフトが論争を起こしていた時、この問題に最も柔軟な姿勢を見せたのは任天堂でした。
この論争があったために、ESRB(米国のソフトウェアレーティング機構)が設立されました。この出来事は、「子供向け」と言われる任天堂のイメージの始まりにしか過ぎません。
「ニンテンドウ64」を思い出してください。64では、300程度あったソフトの内、約7%のレーティングがM(17歳以上対象)です。そして、ユーザーに購入された全ソフト本数のうち、約20%はレーティングがM(17歳以上対象)またはAO(18歳未満禁止)のソフトであると言われています。
ですが残念ながら、Mと評価されたタイトルの品揃えの評判は良くなく、サードパーティとシステムに対するイメージを悪くしました。
ゲームキューブは、新しい望みを持つはずのゲーム機でした。そして、任天堂を再び王者へと復活させるはずでした。ですが実際は違います。発売後6ヶ月程の間、ソフトはほとんど供給されませんでした。また、それ以前に既に権力は移っていたため、GCは結局数年間の借りを作ったままです。
GCソフトの6%(64よりも多い数)はレーティングMソフトでしたが、「子供向け」のイメージはGCによってさらに広がってしまいました。
任天堂はWiiと共に、「or(子供向けのコンテンツ)」から「and(あらゆる年齢層に向けたコンテンツ)」へと進化を遂げるでしょう。彼らの目標は、今までのどのコンソールよりも多く、レーティングMのソフトを発売することです。
NOA社長のReggie Fils-Aime氏は、「私達は、あらゆるパブリッシャーと連絡を取ろうと試みています。実際、Mと評価されるソフトがWiiにはあります。」と答えています。
しかし、100以上あるWiiソフトのうち、Mと評価されるソフトはわずか2つです。それは、「Tom Clancy’s Splinter Cell: Double Agent」と「The Godfather」です。
ここで質問です。任天堂は、本当にM評価のソフトをファンへ提供するのですか?それとも、私達はまた過去の繰り返しを見ることになるのですか?
おそらく、ゲームに触れたことのない人を取り込むことが、任天堂の市場占有率を増加させる唯一の方法であるようです。
日本と海外では市場が大きく違っていて、海外ではライトゲームが受け入れられていない部分もあり、現在言われているように「重厚なゲーム」がまだまだ売れ続けているのは事実です。
また、ここ数年間で、特に「任天堂ハードは子供向けだ」というイメージがつきまとう様になってしまいました。「任天堂が変わらなければ、いつになってもこのままだ」という声もありましたが、DSの成果はWiiへの望みに繋がりました。
この路線を引き継ぎ、縮小を続けるゲーム市場を拡大へ導くことが、今の任天堂の使命なのでしょう。
◎関連リンク
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A brief look at Mature titles on Nintendo Consoles (Codename Revolution)
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Entertainment Software Rating Board (ウィキペディア)
↑米国でのレーティングについて