任天堂のものづくりの裏側が分かる? 「社長が訊く」の製造技術編が掲載
今回インタビューに登場しているのは岩田社長のほか、製品技術部の高田対馬氏、製品技術部の和田将樹氏、製品技術部の森真吾氏の3名です。
インタビューでは、まず
製品の耐久性についての話題になりました。昔から任天堂のハードは丈夫であるのは有名ですが、製品化に当たっては厳しい基準が設けられており、例えば携帯型では
1.5mの高さから10回落としても壊れないこと、というのが審査の一つにあるようです。
10回落としても耐えられるという事だけでも驚きですが、「10回だけだと、たまたま10回OKなだけかもしれない」という理由から、実際は100回も落としてデータを取っているとのこと。
ちなみにWiiなどの据置型は1mですが、なぜ携帯型は1.5mなのか…などの理由については、インタビューを見てもらいたいなと思います。
Wiiの耐久性については、踏まれた場合も考慮されているようです。これについてはインタビューから引用しました。
高田氏: (強度と耐久性に関して)驚いた例としては、Wii本体の上ハウジングに、トタンのような形をした金属部品がついているんですけれども、あれは実はもともとEMI(※電子機器が発した電子波などの影響)対策用のシールドでなくて、本体を誤って踏んでしまったときでもすぐに壊れてしまわないようにつけてある部品でして…。
岩田氏: …。えっ、Wiiは踏むものじゃないのに、踏まれることを想定して設計されていたんですか。
高田氏: Wii本体を初めて開発部門が持ってきたときにその部品がついていたので、「これは何ですか?」と聞いたら、「踏みつけ対策や」と(笑)。
一同: (笑)
高田氏: 実際、Wii本体が数ミリほどぶ厚くなるはずなんですが、それでもそれは必須だということで、開発部門が設計の段階から入れていたんですよね。
岩田氏: 私があれだけ「本体は薄く作って」って言ってたのに(笑)。
一同: (笑)
「Wii本体の上ハウジング」というのは恐らくこの
ページの2枚目の写真に写っているデコボコした金属板のことだと思います。
実際にはEMI対策にもなっているようですが、コンパクトながらも耐久性についてはきちんと考えられているという事ですね。
他にも色々あるのですがそれはインタビュー記事を見てもらうとして、最後に一つ紹介したいと思います。
森氏: 不具合が出たときは常に、何か打つ手はなかったのか、もっと良い方法はなかったのかと反省が残るんです。
それに対して、問題が起こらなかったとしても、改善しなくても結局問題は起こらなかったのか、あるいは改善したからこそ起こらなかったのかは、検証のしようがないんですよね。
岩田氏: そうか、マイナスの罰はあるけれども、プラスのご褒美はないんですね。うーん、しんどいな。「うまく作れて当たり前」って言われちゃうんですもんね。
これは特に日本での事だと思いますが、ユーザー側からすれば”商品は完璧である”というのが当たり前ですよね。
もしどこかで不具合が発生してしまったら、その他の点がどんなに素晴らしかったとしてもその製品はもう市場では受け入れられない、という風潮があるように思います。
そういった厳しい環境にあるからこそ、例えば1.5mの落下実験など、厳しい検査を乗り越えて製品が出荷されているわけですね。任天堂のものづくりの上側を垣間見れるインタビューとなっていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
◎関連リンク
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社長が訊く~任天堂で働くということ~ 製品技術編 (任天堂)